関谷 由一
  セキヤ ユイチ   SEKIYA Yuichi
   所  属   釧路校
   職  名   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2024/11/29
形態種別 大学・研究所等紀要
標題 万葉集における〈民衆〉像・覚え書き
執筆形態 単著
掲載誌名 北海道教育大学紀要. 基礎研究編
掲載区分国内
出版社・発行元 北海道教育大学
巻・号・頁 76,1-16頁
著者・共著者 関谷 由一
概要 本稿は貴族文学としての万葉集に現れた〈民衆〉の姿を網羅的に検討し、その表現的偏りを明らかにした。農耕や家内労働に従事する者を詠む歌は、実態に比して極めて少ない。民衆を詠む歌の大多数は、おおむね次の二つのタイプに分けられる。一つは、民衆を〈統治者/天皇への奉仕者〉として表すものである。そこでは共通して、奉仕の客体を称揚しつつ、主体が払う犠牲への同情が喚起されるという機序が認められるが、使役を民衆にとっての不幸と見なす視点はない。この点は、「行路死人歌」にも通底するところである。もう一つは、非日常的な風物の一種、あるいは特異な表現性を担うものとして〈民衆〉を表すものである。地方人の他、非農耕民を詠むものが多い。総じて、労働や貢納、特異な習俗への関心に基づく、貴族社会で共有されたイメージの範疇にある。このタイプの〈民衆〉は主として好奇の対象であり、山上憶良を例外として、同情や共感が向けられることはない。
DOI 10.32150/0002000332
NAID 1390584022342499328