川端 美穂
カワバタ ミホ KAWABATA Miho 所 属 旭川校 職 名 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2025/03 |
形態種別 | 大学・研究所等紀要 |
標題 | 日本のローカルな保育現場におけるラーニング・ストーリー――計量テキスト分析を手がかりに―― |
執筆形態 | 共著第一著者 |
掲載誌名 | 高知大学教育学部研究報告 |
掲載区分 | 国外 |
巻・号・頁 | (85) |
担当区分 | 筆頭著者 |
著者・共著者 | 川端 美穂(北海道教育大学教育学部), 玉瀬 友美(高知大学教育学部), 中西 さやか(佛教大学社会福祉学部), 木村 彰子(札幌国際大学人文学部) |
概要 | 日本の保育幼児教育施設でもラーニング・ストーリーの実践に取り組む園が増えているが,導入の経緯や目的は一様ではない。すなわちニュージーランドのテ・ファーリキの理念やLearning dispositions のアセスメント方法に共鳴し,比較的倣うように受け入れている園もあれば,自分たちでアレンジを加えている園もある。使用されている書式にも違いがあり,それぞれの現場で試行錯誤が行われている段階にある。そこで,本研究では,日本国内のラーニング・ストーリー実践で,子どもの育ちや学びの「何を」「どのように」アセスメントしているのかについて把握するために,北海道教育大学附属旭川幼稚園という日本の保育のローカルな文脈で,ある保育者が担任した2年間に作成されたラーニング・ストーリーに使われている頻出語や書式を分析した。その結果,頻出語に着目すると,保育者と家族の両方の記述で,4-5歳児と5-6歳児のいずれのグループでも,「友達」と「一緒」は多く使用されており,幼稚園の4-5歳児,5-6歳児の遊びの共同性,協同性は,主要なテーマとして活動を形作り,支えていた。また「作る」という動詞の使用も多く,豊富な材料や遊びの空間で相互作用しながら,子どもたちが様々なモノやルールを作り,人を含む環境との関係性を作ることに価値を置く保育の特徴が認められた。保育者のストーリーの書式と内容をみると,また保育者のナラティブについては,個々の知識やスキルの具体的な価値づけよりも,子どもが何かに心を動かされている様子,仲間と共鳴し合っている様子が丁寧に切り取られ,アセスメントの核になっていた。なお,今回分析対象としたラーニング・ストーリーの書式では,子どもの学びや育ちの姿を書き留める「ストーリー」からどのような育ちが読み取れるかの「分析」と次にどのような教育的働きかけを行うかの「応答(計画)」は,必ずしも明確に書きわけられておらず,分析と応答への意識は強くないことが明らかになった。最後にフォーマットを見ると,保育者欄に準ずるサイズの保護者欄が設けられており,保護者の声が必ず記録されるようになっていた。 |