(最終更新日:2021-03-31 17:59:38)
  齋藤 幸子
  サイトウ サチコ   SAITO Sachiko
基本情報
   所  属   旭川校
   職  名   准教授
   所属講座   数学教育
   電話(D・I)  
学位
1. 1990/03/24
理学博士(北海道大学)
2. 1987/03/31
理学修士(奈良女子大学)
3. 1985/03/31
理学士(奈良女子大学)
所属学会
1. 1987/06~ 日本数学会
委員会・協会等
1. 2013/03~2014/02 日本数学会 地方区代議員(北海道支部)
2. 2012/03~2013/02 日本数学会 評議員(北海道支部)
3. 2012/03~2014/02 日本数学会「数学通信」編集委員会 常任編集委員
現在の専門分野
幾何学, 代数学
位相幾何学, 代数幾何学 (キーワード:K3曲面,周期,反シンプレクティック正則対合,実代数曲線,格子,モジュライ,例外因子,混合超曲面特異点,トーリック爆発射) 
研究テーマ
1. 2019/12~  混合超曲面特異点 国内共同研究 (キーワード:混合関数,混合多項式,Newton多面体,トーリック爆発射,ミルナーファイブレーション)
2. 2009/11~  実 2-elementary K3 surfacesの退化性と周期領域,例外曲線とCoxeter-Dynkinグラフ 国際共同研究 (キーワード:2-elementary K3 surface, nonsymplectic holomorphic involution, anti-holomorphic involution, degeneration, Coxeter-Dynkin graph)
3. 2002/09~  反シンプレクティック正則対合を持つ実K3曲面 国際共同研究 (キーワード:K3曲面,反シンプレクティック,格子,対合)
研究内容
2020年度は,混合超曲面特異点のトーリック爆発射による特異点解消の問題に取り組み,現在も研究を続けている.
平成30年度,V.V. Nikulin氏を札幌に招き,日本数学会トポロジー分科会の「トポロジープロジェクト」として,「K3曲面と格子理論 特別セミナー」を開催.平成29年度は同「トポロジープロジェクト」として,研究集会「第5回K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ」開催.
K3曲面とは標準直線束が自明で第1ベッチ数が0であるコンパクト複素曲面であり,代数幾何学や複素幾何学における重要な研究対象であるが,微分トポロジーやシンプレクティック幾何学においても豊富な例を提供する.K3曲面はすべて微分同相であるが,その複素構造,Picard群,effective classesの集合,K3曲面上の正則対合や反正則対合の作用は様々である.K3曲面上の反正則対合の不動点集合(実K3曲面)のトポロジーに関しては多くの未解決問題がある.反シンプレクティックな正則対合の作用の不動点集合は空または非特異複素曲線であり,空である場合の商空間がエンリケス曲面である.不動点集合が非特異複素曲線でK3曲面が実構造(反正則対合)を持つ場合には,商空間の実部における不動点曲線のアイソトピー型が,K3格子上の対合作用の分類と関連づけて研究されているが,多くの未解決問題がある.これらの問題には,K3曲面の周期写像・周期領域,複素構造の変形,格子(整数上非退化対称双1次形式)の理論,複素特異点の変形族に対するPicard-Lefschetz理論,K3曲面の退化とK3曲面上の例外曲線,Coxeter-Dynkin図形など興味深いテーマが関わっている.
反シンプレクティック正則対合を持つK3曲面は,V. Nikulin, I. Dolgachevらがその研究を始めた(1980年頃).反シンプレクティック正則対合τを持つK3曲面Xに対し,2次元ホモロジー群H_2(X;Z)へのτ_*作用の固定部分の格子としての同型類 S は75通りある(V. Nikulin).(X,τ)がさらにτと可換な反正則対合φを持つとき,real 2-elementary K3 surfaceと呼ばれる. 私はそのモジュライ空間(K3曲面の周期領域)の連結成分,それらの隣接関係,連結成分と対合付きK3格子(H_2(X;Z), τ_*, φ_*)の同型類との間の対応,商複素曲面X/τをブローダウンしたときにτの不動点曲線の像が持つ特異点のreal isotopy型,また,非特異曲線からの退化について,2002年頃から研究している.例えば,H_2(X;Z)へのτ_*作用の固定部分 S のrankが2の場合,商曲面X/τは,P^1 × P^1,または,Hirzebruch曲面 F_1, F_2, F_4である.反シンプレクティック正則対合を持つreal K3曲面 (X, τ, φ)に対して,商複素曲面X/τにもφから実構造が誘導され,分岐曲線AはX/τ上の実曲線である.Nikulin氏 (Liverpool大学)と齋藤幸子は,論文[1](2005)で,(S,θ)型の "D(R)-非退化な" real 2-elementary K3 surfacesのモジュライ空間の連結成分が(S,θ)型の対合付きK3格子の同型類と対1に対応するという定理を得,その応用としてrank S ≦2 の各モジュライ空間のすべての連結成分を明らかにした([1],2005; [2],2007).ところで,例えば,S = <2>+<-2> の場合は,RP^2上の2重点を1つ持つ実6次曲線の分類に対応するが,論文[1]の意味のモジュライ空間の連結成分は,特異点解消した実曲線の実Hirzebruch曲面RF_1におけるdeformation classesを識別できるが,実2重点のisotopy型(node, cusp, isolated point)は識別できない.非退化2重点を1つ持つ実6次曲線のrigid isotopy分類は,I.Itenberg氏(Jussieu数学研究所)がすでに完了(1992)した.このrigid isotopy類は,S = <2>+<-2>型のreal 2-elementary K3 surfacesの周期領域からいくつかの(-6)元に直交する超平面を取り除いて得られる多角形たちと対応する.このことから,"D(R)-非退化性" よりも強い意味で非退化な対象の分類の問題が残されていると言える.同様の現象は,実Enriques曲面の分類においても起こり,(-4)元に直交する超平面を取り除かなければならないが,この場合は,直交超平面での鏡映が同値な周期をもたらすため,対合付きK3格子の同型類とモジュライ空間の連結成分が丁度1対1に対応する.これはとても興味深い.さらに,Itenbergは,rigid isotopy類をvertices(頂点)とし,変形 "node - cusp - isolated point"に対応する2頂点をsimple edgeで結んで得られるグラフが,対合付きK3格子(H_2(X;Z), φ_*)の同型類から格子論的に得られるCoxeter-Dynkinグラフと関わることも見つけた.私は,同様のアプローチをrank S= 3の場合に実行してみた.(下記[3]).
[1] V.Nikulin and Sachiko Saito, Real K3 surfaces with non-symplectic involution and applications, Proc. London Math. Soc., 2005, 591--654.
[2] V.Nikulin and Sachiko Saito, Real K3 surfaces with non-symplectic involution and applications. II, Proc. London Math. Soc., 2007, 20--48.
[3] Sachiko Saito, On real anti-bicanonical curves with one double point on the 4-th real Hirzebruch surface, Journal of Singularities 11 (2015), 1--32.
担当講義
学部では,幾何学V(含演習),幾何学IV(含演習),幾何学III,幾何学II,幾何学I,などを担当しています.
幾何学I (1年後期)では,前期に習得した行列やベクトルの知識に基づき,特に具体的に,平面(R^2)や3次元空間(R^3)におけるベクトルの線形独立性や,ベクトルで張られる平行四辺形の面積,平行6面体の体積と行列の性質との関係,R^3の基底の向き(右手系,左手系),R^2やR^3における直交変換(回転と裏返し)および平行移動による図形の移動,R^3におけるオイラー角など,線型代数の幾何学的応用を学びます.幾何学II (2年前期)は,複素数列や複素べき級数の収束,オイラーの公式,複素関数の連続性,微分可能性,実2変数関数との関係(コーシー・リーマンの関係式)等について学びます.幾何学III (2年後期) では,前年度の「数学入門(集合と論理)」で習得した集合と写像に関する知識に基づき,距離空間や位相空間の性質,特に,開集合・閉集合の概念,写像の連続性,位相空間の連結性,ハウスドルフ性,コンパクト性などを学びます.幾何学IV (3年前期)では,前年度に学んだ位相空間論の図形へ応用を目指します.例えば,メビウスの帯やクラインの壺を「商位相空間」として数学的に定義します.さらに,微分可能写像の臨界点の性質,多様体論の初歩についても学びます.幾何学V (3年後期)では,単体的複体(simplicial complex)のホモロジー群,あるいは,微分幾何学における曲面の第1基本形式,第2基本形式,ガウス曲率,ガウス・ボンネの定理などを学びます.測地三角形の内角の和に対するガウス・ボンネの定理を学ぶことによって,非ユークリッド幾何の世界を数学的に認識することができます.(年度によって適宜内容を変更しています)
著書、学術論文
1. 2021/03/29 論文  混合関数のNewton非退化性   (共著) 
2. 2021/02 論文  平面曲線および複素曲面の芽の良い特異点解消 北海道教育大学紀要(自然科学編) 71(2) (共著) 
3. 2021/01 論文  Resolutions of Newton non-degenerate mixed polynomials of strongly polar non-negative mixed weighted homogeneous face type arXiv:2101.09631 [math.AG]  (共著) 
4. 2020/08 論文  複素解析的超曲面の特異点解消 北海道教育大学紀要(自然科学編) 71(1),1-16頁 (共著) 
5. 2020/02 論文  ホモロジー多様体に対するポアンカレ双対定理について 北海道教育大学紀要(自然科学編) 70(2),1-12頁 (共著) 
6. 2018/08 論文  Discriminant quadratic forms and their applications to the classifications of real K3 surfaces Hokkaido kyouiku daigaku kiyou 69(1),pp.9-20 (単著) 
7. 2018/02 論文  Kharlamovによるいくつかの位相型の実4 次曲面の存在証明 北海道教育大学紀要 68(2),11-20頁 (単著) 
8. 2017/08 論文  On real anti-bicanonical curves with one double point on the 4-th real Hirzebruch surface. II Hokkaido Kyoiku Daigaku Kiyou 68(1),pp.1-9 (単著) 
9. 2017/02 論文  Itenberg's arguments for the rigid isotopic classification of real curves of degree 6 with one real nondegenerate double point Hokkaido kyoikudaigaku Kiyou (shizen-kagaku-hen) 67(2),pp.1-9 (単著) 
10. 2015/08 論文  カヴァリエリの原理,面積・体積の学習,17世紀の数学 北海道教育大学紀要(教育科学編) 66(1),365-374頁 (単著) 
全件表示(24件)
学会発表・講演
1. 2021/03 強義混合擬斉次多項式面関数を持つNewton非退化混合多項式の芽のトーリック特異点解消(日本数学会2021年度年会)
2. 2017/10 Real DPN pairsのHilbert第16問題とreal 2-elementary K3 surfacesの退化性(東海大学理学部数学科談話会)
3. 2017/08 Degenerations of real nonsingular anti-bicanonical curves on real DPN surfaces and Coxeter graphs(第5回K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ)
4. 2017/02 On real anti-bicanonical curves with one double point on the 4-th real Hirzebruch surface.(第1回幾何学研究会)
5. 2015/08 実K3曲面の分類に関する諸問題(1)(2)(第3回 K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ)
6. 2013/08 Nikulin, "Involutions of integral quadratic forms and thier applecations to real algebraic geometry", Math.USSR Izv. 22 (1984) の主結果について(第1回 K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ)
7. 2013/08 実エンリケス曲面のモジュライの連結成分と対合付き格子の同型類の対応(Degtyarev, Itenberg, Kharlamovの結果)(第1回 K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ)
8. 2013/03 Real 2-elementary K3 surfaces of type (3,1,1) and degenerations(日本数学会 年会)
9. 2012/08 Real anti-bicanonical curves with one non-degenarate double point on the 4-th Hirzebruch surface.(研究集会「代数幾何とその周辺」)
10. 2012/03 Real 2-elementary K3 surfaces of rank 3(名古屋大学大学院多元数理科学研究科 代数幾何学セミナー)
全件表示(47件)
外部補助金等
1. 2018/09~2018/09  K3曲面と格子理論 セミナー (日本数学会トポロジー分科会 トポロジープロジェクト)
2. 2017/08~2017/08  第5回 K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ (日本数学会トポロジー分科会 トポロジープロジェクト)
3. 2017/04~2018/03  幾何学的特異点論の展開と応用 (基盤研究(B) 研究分担者)
4. 2016/10~2016/10  第4回 K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ (日本数学会トポロジー分科会 トポロジープロジェクト)
5. 2013/04~2016/03  反シンプレクティック正則対合を持つ実K3曲面とその退化 (挑戦的萌芽的研究 (研究代表者))
6. 2010/04~2014/03  サブリーマン幾何からトロピカル幾何まで実代数幾何的綜合研究 (基盤研究(B) 連携研究者)
7. 1997~1997  実代数多様体の変形と条件付き対合付き格子 (奨励研究(A))
8. 1996~1996  実多項式で定義される複素曲面とその実部との相対位相型 (奨励研究(A))
9. 1994~1994  実代数曲線の位相的性質と,対合をもつ格子の不変量との間に対応について (奨励研究(A))
10. 1990/04~1992/03  実代数多様体の微分位相幾何学的および代数幾何学的研究 (日本学術振興会特別研究員奨励費)
職歴
1. 1990/04~1991/04 日本学術振興会 特別研究員PD (北海道大学理学部数学科)
2. 1991/05~1995/03 北海道教育大学教育学部 函館校 講師
3. 1995/04~2007/03 北海道教育大学教育学部 函館校 助教授
4. 2007/04~ 北海道教育大学教育学部 旭川校 准教授
5. 2008/12 北海道大学 大学院理学院数学専攻 非常勤講師
6. 2009/06 熊本大学 大学院自然科学研究科 非常勤講師
7. 2018/10~2019/02 北海道大学 全学教育 非常勤講師
8. 2019/10~2020/02 北海道大学 全学教育 非常勤講師
9. 2020/10~2021/01 北海道大学 全学教育 非常勤講師
資格・免許
1. 1987/03/31 高等学校教諭(数学)専修免許状
2. 1987/03/31 中学校教諭(数学)専修免許状
社会における活動
1. 2020/12~2020/12 教員免許状更新講習 講師 【選択領域】 「微分してみよう,積分してみよう」
2. 2018/12~2018/12 教員免許状更新講習 講師 (「面積・体積の計算の歴史」)
3. 2018/09~2018/09 K3曲面と格子理論セミナー (企画・開催)
4. 2017/10 第72回北海道算数数学教育研究大会 高等学校部会 第6分科会助言者
5. 2017/08 第5回K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ 世話人 (北海道教育大学札幌駅前サテライトにて)
6. 2016/10 第4回K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ 世話人 (北海道教育大学札幌駅前サテライトにて)
7. 2016/08 教員免許状更新講習 講師 (「面積・体積の計算と数学史」)
8. 2015/08 第3回K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ 世話人 (北海道教育大学札幌駅前サテライトにて)
9. 2015/01 研究集会「接触構造、特異点、微分方程式及びその周辺」  世話人 (旭川市ときわ市民ホールにて)
10. 2014/12 教員免許状更新講習 講師 (「ニュートン・ライプニッツ時代の数学」)
全件表示(15件)